我慢の秋

3月の春に蒔いた種が、根から多くの水分と養分を吸収し、夏の強い太陽の陽を受けすくすくと成長し、体内に養分を作り、そして9月は実り多き豊かな秋になればいいのですが、そうはいかない中学受験。

 

9月も半ばを過ぎ、リベラ進学塾でもいよいよ入試問題の過去問を解く時期がやってきました。いままでの模擬試験とは違った本物の入試問題を目の前にした60分は、より一層緊張感が高まります。この時期に第一志望校の合格点をとれるのは、ほんの一部の子どもたちだけです。ほとんどの場合が合格基準点には達せず、子どもたちだけでなく保護者の方も不安を感じられることでしょう。指導する者としても、9月に合格点をとってもらえると安堵するところもありますが、ほとんどの場合はそうは行かず、ここからは我慢のときがやってきます。基本事項は抑えられているだろうか。60分をうまく時間配分できているだろうか。得点できるものを取りこぼしていないか。いろいろな課題が表面に現れるのが、この時期です。

 

■算数でこれからの時期で大切なこと

1.解法を暗記しない

これまでの勉強法でも、算数は暗記ではない。理解しなさいと口酸っぱく話してきました。なにごともパターンに当てはめて暗記しようとしないことです。何でもかんでも特殊算に還元して問題を解こうとすることをやめることです。条件反射ですべての問題は解けません。今後の伸びにつなげるには、一つの問題を大切にじっくりと時間をかけて取り組ませます。

 

2.基礎的な内容をもう一度徹底する

基礎とは簡単という意味ではありません。

いまの時期、入試の過去問を解いた際に失点している問題を見てみると、基礎的な問題であることが多々見られます。解説を聞けば、安易に得点できる問題だったはずです。その基礎的な問題をしっかりと解けていれば、あと何点加点できたか計算してみて下さい。基礎の大切さが分かるはずです。

 

3.解き直しを徹底する

過去問演習や授業で扱った問題で解けなかった問題を必ず解き直すことです。その際、ちょっとした注意点があります。それは、時間をおいてから解き直すようにすることです。解説を聞いた日から、少なくとも1日は空けさせます。そして自分の腹の底に落とし込みながら解き直します。以前に解いた問題を解き直すことも効果的です。2度3度解いていくうちに、1度目と違った見え方がするはずです。

 

4.低い点数が出ても気にしすぎない

具体的な点数を示しましょう。開邦中学の算数独自検査が10点台でも気にしすぎることはありません。もちろん、本番で10点台での合格は非常に厳しいですが、今の時期の10点台はレアケースではありません。それよりも時間内に解けなかった問題をいかに正確に解答するかに目を向けるべきです。

 

以上のことを徹底することは、苦しいことです。わたしは毎年この時期から子どもたちに「苦しみなさい。とにかく苦しみなさい。そうすれば、必ず伸びるから。」と話しています。6年生のいまの時期は、算数の知識が頭の中でばらばらに散らばっていることが多くあります。それが整理され運用できるのに時間がかかるのは仕方がないことです。

そして、これまでと今で決定的に違うことがあります。それは、これまでは「分からないからできない。」ですが、今は「できなかったけど分かる。」です。実はこの状態が最も伸びるのです。 

我慢して、苦しんで、実践してください。必ず点数に跳ね返ってくる時が来ます。