2021年度県内中学入試トップ2校を分析する

■中学受験は7年周期
しばしば首都圏の中学受験においては、志願者が第一志望とする学校が変動するのは7年周期と言われています。なぜ6年ではなく7年なのかと言うと、各学校の大学合格実績が出るのは3月であることに起因します。大学合格実績が出る3月には、その年の中学受験学年の6年生はすでに進学する学校を決めています。よって、次の受験学年である5年生に影響するわけです。

 

■例として
今年、東大合格者を急増させて注目を浴びている学校に、神奈川県の県立横浜翠嵐高校があります。横浜翠嵐高校は今年50人の東大合格者(内44人が現役)を出して、新聞やその他メディアでも大きく取り上げられました。その東大合格者急増の背後には、やはり東大合格者が増えた年(2017年)の翌年にトップ層が集中して入学したことが最大の理由だと言われています。横浜翠嵐高校は、中学がありませんので、高校受験は4年周期を体現している典型的な事例だということです。

 

■開邦中学の難易度は残留率と関係する
以上のことを踏まえると、開邦中学の残留率(合格者に対する入学者の割合)が開邦高校の大学合格実績に影響されるのは、開邦中学の1期生の大学合格実績が出たあとだと考えていました。しかし今年は開邦中学の残留率は例年以上に高かったように思われます。それは2020年に開邦高校が東大合格者を3人出し、しかも理Ⅲを含んでいたことによるものでしょう。なおかつ2020年12月実施の県立中学の適性検査と開邦中学の独自算数の難易度を考えると、例年より得点しやすい傾向にありました。そうなるとより一層、実力のある受験生は失点しにくく、手堅く点を取ることになります。番狂わせもありません。

 

■それでも昭和薬科大学附属中学は支持される
中学受験指導をしていて、特にここ数年間、肌身で感じることは、昭和薬科大学附属中学の確固たる支持層の存在です。一つは昭和薬科大学附属中学・高校の卒業生が親世代になり、その子どもたちが中学受験を迎える第2世代を構成していることがあげられます。それと同時に兄弟で昭和薬科大学附属に通わせたいと考える保護者も多く見受けられます。昭和薬科大学附属は長年に渡り支持者を作り続けているのです。また依然として旧帝大や早慶などの難関大学と国公立大学医学部への合格者数は開邦高校に大きく水を開けているのも事実です。

 

■今度の動向

では、今年の大学合格実績はどうだったか。昭和薬科大学附属高校も開邦高校も特に大きく変わった様子が見受けられません。次の学年がどう動くか予想が難しいものの、昨年の開邦高校からの東大合格者数がまだ後を引く可能性もありますし、首里駅からの循環バスの開通も開邦中学の後押しになるかもしれません。さらに給食が出るようになると、また変わってくるかもしれません。そして開邦中学の1期生(現高校3年生)の大学合格実績が開邦中学の難易度に影響を与えることは間違いなさそうです。

 

 

※参考資料

両校の2021年度の大学合格実績

昭和薬科大学附属高校

shinro_jisseki_20210413

開邦高校

daigakunyushi

 

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