理念と実践 大人の背中

私たちリベラ進学塾も、今年で開校3周年を迎えようとしています。この約3年間に多くの保護者様が当塾へ訪れました。そのほとんどが転塾の相談です。成績の伸び悩みは、様々な原因が複雑に絡み合っているため、紐解いていくのに時間を要します。最低でも2ヶ月は要しますし、改善こそできても、すべてを解決できるとは限りません。

ただ、成績不振以外でも別の内容で転塾相談にいらっしゃいます。それは講師の暴言です。日本のスポーツ指導の場では、勝利至上主義の下で暴言や暴力が罷り通ってきました。保護者からも容認されてきたことも事実です。暴言や暴力を振るうことで、超短期的な結果を出すことに「成功」してきたからです。しかし、いまは各競技団体が、指導者向けの講習会でその排除に注力しているようです。そこで指導者たちに強く言われていることは「暴言はいじめ。暴力はドーピング。」だそうです。

翻って、私たち塾業界からも未だに暴言がなくならないのは、保護者の消極的な容認があるからではないでしょうか。志望校合格のために、手厳しく指導してほしいことと暴言を容認することが表裏一体になっているのです。大人の世界ではハラスメント撲滅が盛んに叫ばれている中、なぜ子どもたちへの人権侵害に目を瞑るのでしょうか。より良い社会を作っていくためには、大人が子どもの環境にもっとシビアに対峙するべきです。また、スパルタ教育で育った人間は、スパルタでしか人を指導できないものです。部下や従業員に対しても同様です。もしスパルタ教育を受けたことを誇示する大人がいたら、距離を取るべきです。なぜなら彼らは無意識に暴力性を含んだ言説で他者を意のままに動かそうとするからです。その負のスパイラルを断ち切るべきではないでしょうか。

同時に、子どもを追い詰めて勉強させた場合と、子どもに愛情を注いで勉強を促した場合とで、長い目で見てどちらが学習に対するポジティブな態度を取れるかは、火を見るより明らかなはずです。